心血管リスクが高い場合はLDLが低くてもスタチンを服用したほうがいい?
- 2017/10/10
- 19:02
Statin Therapy in Patients With Low Serum Levels of Low-Density Lipoprotein Cholesterol
PMID: 28951019
P : 20歳以上の心血管疾患のリスクが高い患者(心血管疾患(冠動脈心疾患、心筋梗塞、狭心症、脳卒中)、重症慢性腎疾患(<30ml /分/1.73m 2)、またはタンパク尿症を伴う糖尿病の既往歴、または現在の喫煙、高血圧、脂質異常症。
※LDL-C 120mg/dl以上の場合は除外されている(?)
E : スタチンの使用(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、ロスバスタチン)
C : スタチン使用しない
O : 全死亡率
論文のアウトカムは真のアウトカムか? → 真のアウトカム
調整した交絡因子は何か? → 傾向スコアマッチングされている。
年齢、性別、人種、教育の到達度、喫煙歴、BMI、心血管疾患や悪性腫瘍、糖尿病、高血圧の病歴、LDL-C、HDL-C、TG、GFR、アルブミン尿の有無
※モデル1では上記を調整、モデル2では年齢をカテゴリごとではなく連続年齢で調整、モデル3はモデル1に加えて健康状態も調整した。
結果
追跡期間
スタチン群 平均5.2年
非スタチン群 平均6年
全死亡率
調整前
HR 0.72 (95%Cl 0.49–1.04)
調整後(モデル1)
HR 0.62 (95%Cl 0.45–0.85) p = 0.004)
※モデル2、3でも有意差あり
スタチン群 20.7 (1,000人-年)
スタチンなし群 29.9 (1,000人-年)
LDL-C<100mg/dlの場合
HR 0.50 (0.34–0.74)
心血管疾患あり
HR 0.54 (0.37–0.80)
心血管疾患なし
HR 0.80 (0.44–1.45)
糖尿病患者
HR 0.71 (0.43–1.17)
非糖尿病患者
HR 0.54 (0.36–0.82)
ただしモデル3での調整後だとHR 0.59 (0.30–1.17)
心血管死亡
HR 0.64 (0.38–1.08)
非心血管死亡
HR 0.62 (0.40–0.94)
ただし、モデル2、3で調整するとHR 0.61 (0.35–1.08) 、HR 0.65 (0.37–1.15)
まとめ
心血管リスクが高い場合はLDL-Cが低くてもスタチンをやめない方が死亡率が低いかもしれないという結果。
各群のLDL-C値は非スタチン群で94.6 (18.2) 、スタチン群で83.9 (18.5) となっていますが、スタチンの量などが不明という点が残念。せめてストロングかスタンダードかみたいなのがわかると良かったな…。
二次アウトカムではありますが、日本でもLDL-Cは100mg/dl以下にするのが良さそうな結果も出てますかね。
以前報告があったコホート研究(PMID: 27322095)でも≤70.0 mg/dl、70.1-100.0 mg/dl、100.1-130.0 mg/dlの3群での比較がされており、100.1-130.0 mg/dlより低い方が急性心筋梗塞、不安定狭心症、脳卒中、血管形成術、バイパス術、総死亡などのイベント数が少なくなることが示唆された報告もある(詳しくは「スタチン 二次予防 地域医療」でググると出てくるからググってみて。笑)のでそっちも今度読んでみようと思います。
先日のJJCLIPでもスタチンのコホートでしたので、違うコホートを読んでみました。
あと、セリバスタチンが入ってるな…。平成13年8月に販売中止と自主回収の通知が出ています。試験期間は1999年から2010年なのですがその影響はあんまりないかな…。さすがに…。
PMID: 28951019
P : 20歳以上の心血管疾患のリスクが高い患者(心血管疾患(冠動脈心疾患、心筋梗塞、狭心症、脳卒中)、重症慢性腎疾患(<30ml /分/1.73m 2)、またはタンパク尿症を伴う糖尿病の既往歴、または現在の喫煙、高血圧、脂質異常症。
※LDL-C 120mg/dl以上の場合は除外されている(?)
E : スタチンの使用(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、ロスバスタチン)
C : スタチン使用しない
O : 全死亡率
論文のアウトカムは真のアウトカムか? → 真のアウトカム
調整した交絡因子は何か? → 傾向スコアマッチングされている。
年齢、性別、人種、教育の到達度、喫煙歴、BMI、心血管疾患や悪性腫瘍、糖尿病、高血圧の病歴、LDL-C、HDL-C、TG、GFR、アルブミン尿の有無
※モデル1では上記を調整、モデル2では年齢をカテゴリごとではなく連続年齢で調整、モデル3はモデル1に加えて健康状態も調整した。
結果
追跡期間
スタチン群 平均5.2年
非スタチン群 平均6年
全死亡率
調整前
HR 0.72 (95%Cl 0.49–1.04)
調整後(モデル1)
HR 0.62 (95%Cl 0.45–0.85) p = 0.004)
※モデル2、3でも有意差あり
スタチン群 20.7 (1,000人-年)
スタチンなし群 29.9 (1,000人-年)
LDL-C<100mg/dlの場合
HR 0.50 (0.34–0.74)
心血管疾患あり
HR 0.54 (0.37–0.80)
心血管疾患なし
HR 0.80 (0.44–1.45)
糖尿病患者
HR 0.71 (0.43–1.17)
非糖尿病患者
HR 0.54 (0.36–0.82)
ただしモデル3での調整後だとHR 0.59 (0.30–1.17)
心血管死亡
HR 0.64 (0.38–1.08)
非心血管死亡
HR 0.62 (0.40–0.94)
ただし、モデル2、3で調整するとHR 0.61 (0.35–1.08) 、HR 0.65 (0.37–1.15)
まとめ
心血管リスクが高い場合はLDL-Cが低くてもスタチンをやめない方が死亡率が低いかもしれないという結果。
各群のLDL-C値は非スタチン群で94.6 (18.2) 、スタチン群で83.9 (18.5) となっていますが、スタチンの量などが不明という点が残念。せめてストロングかスタンダードかみたいなのがわかると良かったな…。
二次アウトカムではありますが、日本でもLDL-Cは100mg/dl以下にするのが良さそうな結果も出てますかね。
以前報告があったコホート研究(PMID: 27322095)でも≤70.0 mg/dl、70.1-100.0 mg/dl、100.1-130.0 mg/dlの3群での比較がされており、100.1-130.0 mg/dlより低い方が急性心筋梗塞、不安定狭心症、脳卒中、血管形成術、バイパス術、総死亡などのイベント数が少なくなることが示唆された報告もある(詳しくは「スタチン 二次予防 地域医療」でググると出てくるからググってみて。笑)のでそっちも今度読んでみようと思います。
先日のJJCLIPでもスタチンのコホートでしたので、違うコホートを読んでみました。
あと、セリバスタチンが入ってるな…。平成13年8月に販売中止と自主回収の通知が出ています。試験期間は1999年から2010年なのですがその影響はあんまりないかな…。さすがに…。
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